水の底から見た街の夢

わたしの人生の雑記帳

お茶日記のはじまり

べつに海外に行くから日本文化に触れたいと思ったわけじゃない。もともと興味があったのだ。ただなんとなく始めるタイミングがなくてあーだこーだ迷っている間にただ時間が過ぎていって、やっと決心したのが今だっただけのこと。

最近茶道のお稽古に通い始めた。あまり長くは通えなさそうだけどそこで学んだことをここに記録していきたいと思う。2年くらいまえから母はお茶に通っていてそれがとても楽しいらしく着物を着た写真を送ってくれたり実家に帰るとお点前の練習と言ってお茶を点ててくれる。そんな母を見てずっと気になってたけどなんとなくルールとかめんどくさそうだなあと思っていたお茶をはじめることにした。

まずは教室を調べる。あまり遠くへは行きたくないので最寄りのバスに乗ってすぐ行けそうな2箇所に連絡をした。どちらもすぐに連絡があり早速体験に行くことにした。

最初の教室の先生は厳しそうだった。先生の「もっと右」「もっと左」「もっとこちらへ」「それじゃだめよ」「やってみたら意味がわかるわよ」という言葉を聞きながら生徒の動きを眺めた。畳何目とか細かく決まっているみたいだけどそれはただ形式的に決まっているわけじゃなくてそうすることで動きが滞りなく進んだりきれいに見えたりするんだろうなとなんとなく思った。いつもはグループで稽古していたけど今は個人でやっているらしく、この狭い部屋で先生とマンツーマンちょっと息がつまりそうだなと思いながら帰宅した。

2つめの教室に体験に行った日は3人の生徒がいた。イスに座りながら見学していたけど途中から一緒にお客さんになってお菓子とお茶をいただいた。優しいお姉さんたちが両側から手取り足取り一から十まで動きを教えてくれて、それに従ってきょろきょろしながらお茶を飲んだ。お菓子がおいしくて、これが毎回食べられるのかな…ってお菓子目当てで茶道部に入った子の気持ちが少しわかった。3人が帰ったあと、帛紗さばきや歩き方、基本のお点前を教えてもらった。先生に言われた通りに動くだけで何が何だかという状態だったけど、初めて自分で点てたお茶を飲んだときは不思議な気分だった。これがおいしいのかまずいのかわからないけどはじめて点てたお茶をいま飲んでいる。「おいしい?」と聞かれたけど抹茶は好きだし抹茶味だからおいしいと感じるんだろうなと思いながら「おいしいです」と答えた。「上手にできてるわね」と言われたのがお世辞でもうれしかった。

1週間くらい考えてわたしは2つめの教室に通うことにした。

 

そしてやってきた初めてのお稽古、まずはみんなに混ざってお客さん役になる。この日のお菓子は名前がわからないんだけどもこもこした緑色にあんこが包まれたものと雪に埋もれた綿菓子のカケラみたいなものだった。この綿菓子のカケラがね、口に入れるとすーってなくなるの。おいしかったなあ。

前回やったことをすっかり忘れていたのでまた周りの人たちに教えてもらいながらお菓子とお茶をいただく。両手で持もちあげてちょっと見てからおろして、懐紙の上に乗せる。そのあとはそのまま隣の人に渡してよかったんだっけ?だめだ、2回目だったけどもう忘れてしまった。お茶は正面を避けて飲むから左に回して、、、この時の手はどうするんだ?飲んだら置いて茶碗を見て……全然覚えてないなと思いながらみんなのお稽古が終わってここからは個人レッスンのはじまり。まずは歩き方の復習から。正直ずっと正座していて足首がいたくてもう動きたくなかったけど、なんとか耐えた。次に茶巾のたたみ方、帛紗さばきの復習。買ったばかりの帛紗はかなりやりにくかったけどだんだん慣れてくるものらしい。だけどぴっちり折り目がついた帛紗も良くないらしくて難しいね。そしてなつめの拭き方の復習。これはなんとなく覚えていた。ここまで復習したところで名前を忘れたいろいろを持って炉の前へ。薄茶のやり方を教えてくれるらしい。前回と同様に先生の言う通りに体を動かすのに必死で動きを覚えるどころじゃなかった。名前も曖昧だし動きも曖昧にしか覚えていない。だけどこの日もしっかりお茶を点てた。先生が飲んだので緊張したけどおいしいと言ってくれたのでまあまあの出来だったのだと信じたい。せっかく炉でやるお茶を教えてもらったのに炉はこの日で終わりだった。せっかく教えてもらったのにほとんど覚えられないまま終わってしまうのが悲しいけどまたその季節がきたら覚えていこう。

そうそう、前に屈んだときに胸元から楊枝が滑り落ちてきて炉に落ちかけたの。落ちなかったからよかったけど本当に焦った。笹の形で気に入ってるの。この日の掛け軸は「心清茶味香」というものだった。清い心をもってお茶を楽しむぞ。