水の底から見た街の夢

わたしの人生の雑記帳

はじめての風炉

5月になった。炉が風炉に変わってなんとなく部屋が広くなったように感じた。この日のメンバーはベテラン3人とわたしの4人。3人のうち2人は会ったことがあるのでそこまで緊張しなかった。

最初はわたしと同い年の先輩の濃茶のお点前を見学。柄杓の置き方とか箱の持ち方とか、何やってるのか全然わかんないなと思いながら見てた。

次の先輩のお点前のときにはわたしも客席についた。濃茶は1つの茶碗で回して飲むものらしいけどいまはこういう状況なので一人一碗ずつお茶を点てているらしい。通常の作法を教えてもらったけど、作法がどんどん変化していくものならこれからは濃茶も一人一碗になっていったりするのかな。濃茶がどういうものなのかとかまだ全然知らないのでそう簡単に変わるものではないのかもしれないけど。

次客のわたしが正客の方を向いて茶碗を受け取りひと口のんだあと、隣で正客がと亭主が話しはじめてわたしはどうしたらいいのかわからないまま茶碗を握っていたんだけど気にせず飲んでてもよかったみたい。最後はお茶がゆっくり落ちてくるのを待ちましょうみたいなことを言われたけど、ちょっとせっかちなとこがあるわたしはまじか

〜ってちょっとだけ思ったんだよね。

お茶をいただいたあとは道具を見せてもらうんだけど、それを返しにいくのも大変なのね。茶杓とかとか棗が入ってる入れ物(名前忘れちゃった)とかなんかいろいろ亭主に返しに行くのに全部自分の前に置いてにじりながら返しにいくんだけど、全部手に持って返しに行きたいわ〜!って思いながら道具をひとつひとつ動かしていた。次客がそれを持って行ったら正客に渡して、そのあと次客は席に戻ってい正客と亭主のやりとりを見ていた。

濃茶はいいお茶でやるものなの?ちらっとそういう話が出ていたけどあまり深くは聞けなかったのであとで調べよう。

濃茶が終わって次は薄茶のお点前だった。このとき出てきたお菓子がおいしくて!名前がわからないんだけどあんこが入った緑色のモンジャラみたいな見た目のやつだった。毎回たくさんおいしいお菓子を出してくれるのでこんなにお菓子食べてお稽古してもらってこの月謝で本当にいいの!?って思ってしまうけど、生徒としてはありがたいよねえ。

薄茶をいただくのは何度かやっているので前回よりはスムーズにできたと思う。成長を感じられて自分でもうれしい。建水が浅くて最後に運ぶのが大変そうだなと思った。

最後はわたしの番。風炉では初めてのお点前なのでまた一から教えてもらう。といっても炉のお点前も言われた通りにやるのに必死でしかも2回しかやってないからほとんど覚えてないのだけど…。釜の蓋を開けるじゃない。ああいうの熱くて怖いからあまりやりたくなくてめちゃくちゃ怯えながら開けた。熱かった…。柄杓の持ち方も難しいよね。置き方も3種類くらいあって引き柄杓?は最初にやったとき柄杓を落としそうだった。でも一番混乱したのは茶巾の扱いだった。茶碗の周りを拭くとこまではいいんだけどそのあと茶碗のなかでどうなるのかよくわからなくて、何度も茶巾を裏返したり持ち替えたりしちゃった。だけど今回は5杯分のお茶を点てたので最後にはなんとなくできるようになってた。これで薄茶を点てる流れは覚えられたと思う。ずっと正座してて足痛くなってたのと、5杯分のお茶で建水がいっぱいになってたので先生が建水を運んでくれてわたしはエア建水を運んだ。

いいお茶がどういうお茶かまだよくわからないんだけど、みんながわたしのお茶がおいしくできてると言ってくれてとってもうれしかった。褒めてもらえるとやる気出るよね。だけどここで先生から「次回は拝見の流れもやりましょうね。何か考えておいて」と言われて、何考えていけばいいの〜〜??っていまから来週のお稽古に緊張している。いろいろ名前が書いてある紙はもらったけどどうしましょうね。次のお稽古までに調べよう。そして今回の復習もしようね。

お茶日記のはじまり

べつに海外に行くから日本文化に触れたいと思ったわけじゃない。もともと興味があったのだ。ただなんとなく始めるタイミングがなくてあーだこーだ迷っている間にただ時間が過ぎていって、やっと決心したのが今だっただけのこと。

最近茶道のお稽古に通い始めた。あまり長くは通えなさそうだけどそこで学んだことをここに記録していきたいと思う。2年くらいまえから母はお茶に通っていてそれがとても楽しいらしく着物を着た写真を送ってくれたり実家に帰るとお点前の練習と言ってお茶を点ててくれる。そんな母を見てずっと気になってたけどなんとなくルールとかめんどくさそうだなあと思っていたお茶をはじめることにした。

まずは教室を調べる。あまり遠くへは行きたくないので最寄りのバスに乗ってすぐ行けそうな2箇所に連絡をした。どちらもすぐに連絡があり早速体験に行くことにした。

最初の教室の先生は厳しそうだった。先生の「もっと右」「もっと左」「もっとこちらへ」「それじゃだめよ」「やってみたら意味がわかるわよ」という言葉を聞きながら生徒の動きを眺めた。畳何目とか細かく決まっているみたいだけどそれはただ形式的に決まっているわけじゃなくてそうすることで動きが滞りなく進んだりきれいに見えたりするんだろうなとなんとなく思った。いつもはグループで稽古していたけど今は個人でやっているらしく、この狭い部屋で先生とマンツーマンちょっと息がつまりそうだなと思いながら帰宅した。

2つめの教室に体験に行った日は3人の生徒がいた。イスに座りながら見学していたけど途中から一緒にお客さんになってお菓子とお茶をいただいた。優しいお姉さんたちが両側から手取り足取り一から十まで動きを教えてくれて、それに従ってきょろきょろしながらお茶を飲んだ。お菓子がおいしくて、これが毎回食べられるのかな…ってお菓子目当てで茶道部に入った子の気持ちが少しわかった。3人が帰ったあと、帛紗さばきや歩き方、基本のお点前を教えてもらった。先生に言われた通りに動くだけで何が何だかという状態だったけど、初めて自分で点てたお茶を飲んだときは不思議な気分だった。これがおいしいのかまずいのかわからないけどはじめて点てたお茶をいま飲んでいる。「おいしい?」と聞かれたけど抹茶は好きだし抹茶味だからおいしいと感じるんだろうなと思いながら「おいしいです」と答えた。「上手にできてるわね」と言われたのがお世辞でもうれしかった。

1週間くらい考えてわたしは2つめの教室に通うことにした。

 

そしてやってきた初めてのお稽古、まずはみんなに混ざってお客さん役になる。この日のお菓子は名前がわからないんだけどもこもこした緑色にあんこが包まれたものと雪に埋もれた綿菓子のカケラみたいなものだった。この綿菓子のカケラがね、口に入れるとすーってなくなるの。おいしかったなあ。

前回やったことをすっかり忘れていたのでまた周りの人たちに教えてもらいながらお菓子とお茶をいただく。両手で持もちあげてちょっと見てからおろして、懐紙の上に乗せる。そのあとはそのまま隣の人に渡してよかったんだっけ?だめだ、2回目だったけどもう忘れてしまった。お茶は正面を避けて飲むから左に回して、、、この時の手はどうするんだ?飲んだら置いて茶碗を見て……全然覚えてないなと思いながらみんなのお稽古が終わってここからは個人レッスンのはじまり。まずは歩き方の復習から。正直ずっと正座していて足首がいたくてもう動きたくなかったけど、なんとか耐えた。次に茶巾のたたみ方、帛紗さばきの復習。買ったばかりの帛紗はかなりやりにくかったけどだんだん慣れてくるものらしい。だけどぴっちり折り目がついた帛紗も良くないらしくて難しいね。そしてなつめの拭き方の復習。これはなんとなく覚えていた。ここまで復習したところで名前を忘れたいろいろを持って炉の前へ。薄茶のやり方を教えてくれるらしい。前回と同様に先生の言う通りに体を動かすのに必死で動きを覚えるどころじゃなかった。名前も曖昧だし動きも曖昧にしか覚えていない。だけどこの日もしっかりお茶を点てた。先生が飲んだので緊張したけどおいしいと言ってくれたのでまあまあの出来だったのだと信じたい。せっかく炉でやるお茶を教えてもらったのに炉はこの日で終わりだった。せっかく教えてもらったのにほとんど覚えられないまま終わってしまうのが悲しいけどまたその季節がきたら覚えていこう。

そうそう、前に屈んだときに胸元から楊枝が滑り落ちてきて炉に落ちかけたの。落ちなかったからよかったけど本当に焦った。笹の形で気に入ってるの。この日の掛け軸は「心清茶味香」というものだった。清い心をもってお茶を楽しむぞ。